歩行介助などの身体介助に負担を感じる方は、「ボディメカニクス」の理論を学ぶことで、疲労や腰痛などのリスクを軽減できます。
ボディメカニクス理論の基本は、次の7点です。1点目は、体を支えるために必要な場所を確保することです。安全な介助を行うためには、相手の体をしっかりと支える必要があります。足を肩幅に開いて、自分の重心を安定させましょう。
2点目は、重心を低く保つことです。両足を肩幅に開いたら、膝を軽く曲げて腰を落とし、体の重心の低い位置に保ちます。安全な介助が行えると同時に、腰痛を予防できます。
3点目は、重心を相手に近づけることです。相手に密着して重心を近づけ、お互いの体を安定させます。
4点目は、水平移動を意識することです。移乗介助などの際に、体を持ち上げて降ろす“上下運動”は、大きな力が必要になり腰痛の原因にもなるためおすすめできません。体を持ち上げず、水平に動かすことを意識しましょう。
5点目は、“てこの原理”を活用することです。体を支える部分を「始点」、力を加える場所を「力点」、体が動く部分を「作用点」と考えると、少ない力で移乗介助などが行えます。
6点目は、相手の体が小さくなるような姿勢を意識することです。大きな物よりも小さな物の方が、簡単に動かせます。身体介助では腕や膝を曲げてもらうなどして、体を小さくまとめることを意識しましょう。
7点目は、体全体を使って介助することです。腕や腰だけなど体の1点で支えるよりも、体全体で支える方が安定します。
ボディメカニクスの理論を学び、少ない負担で効果的な介助を行いましょう。